あまりにも有名なお岩さんの物語です。怪談ものの代表というだけあって、
やはり夏場に上演されることが多いです。
このお話に関する因縁話や言い伝えもたくさんあります。
歌舞伎に限らず、お芝居でこの演目を取り上げるときは、関係者は必ず東京・四谷のお岩稲荷にお参りし、厄除けのお札をいただいてくるのだそうです。
また、「お岩さんを呼び捨てにしてはいけない」とも言われています。
歌舞伎で上演するとき、大道具にいただいたお札を貼ったり、
出演者はその稲荷でもらったお守りを身に付けて舞台に上がるそうです。
お岩さんが自分を裏切った夫、伊右衛門とその周りの人々を次々に呪い殺していくお話ですが、
亡霊と化したお岩さんが舞台のあちこちに突然あらわれたり消えたりする仕掛けが見事で、
まさに神出鬼没です。
ちょうちんの火が突然燃え上がり、その中からお岩さんが現れたり、
仏壇の中から突然出現して祟る相手を掴んで一緒に消えてしまうなど、
工夫をこらした演出が見物です。
また、伊右衛門という役は「色悪」といって、極悪人なのですが男らしい色気が必要とされます。
凄みを感じるほどの美しさを持った悪い男、という雰囲気が出ないと芝居が締まりません。
ちなみに、伊右衛門役の役者さんはお岩稲荷に行くとかえって祟られるので
決してお参りしない、といういわくつきの話もあります。