歌舞伎といえばこの勧進帳を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか?
演目名は知らなくても、弁慶の格好をした役者さんが片足で立ち、
見得を切っている写真は見たことがあると思います。
歌舞伎十八番にも入っているこの名作はシンプルな舞台であるだけに、
演じる役者さんの上手下手がはっきりと分かってしまうという演目でもあります。
主君の源頼朝に疎まれ、都を追放された義経は部下の弁慶を伴って北陸の安宅まで
逃げ延びます。
義経は荷物持ちに扮し、弁慶たちは山伏に変装して関所を通り抜けようとしますが、
富樫という関守に見破られます。
義経を守りたい一心の弁慶は白紙のお経(勧進帳)をアドリブで読み始め、
本物の山伏であると思わせて関所を通り抜けようとします。
義経一行であることに気がつきつつも、富樫は弁慶の心意気に免じて関所を通すことを許す、
というお話です。
弁慶は剛胆な中にも、主君を思いやる繊細さが必要です。
また、義経はセリフがほとんどなく、顔を隠してじっと座っている時間が長いのですが、
こちらも座っているだけで品格が漂うような演技が求められます。
一方、富樫は厳しくも情の深い役柄です。
関所から義経一行を通したとあっては、富樫もいずれ処刑される身となります。
その腹を括った貫禄が伝わらないと、芝居が台無しになってしまいます。
有名な見得や型もたくさんあり見どころ満載の作品ですから、
機会があったらぜひご覧になってみてください。