鬘は歌舞伎の登場人物の役柄を決定するうえで、化粧や隈取りと同じぐらい重要な役割を
果たしています。
歌舞伎の鬘を作成するのは床山さんという専門の方ですが、
役者さん一人一人に合った型を作成するのに始まり、役柄をよく理解したうえで、
顔の輪郭や鬢(びん)の高さなどの細部に至るまで調整していきます。
たとえば女形の場合、生え際がはっきりとせずぼやけた感じであれば若い娘の役、
逆に生え際がはっきりとしていれば熟女の役といった具合です。
また、女形は男の体を小さく華奢に見せるため、
わざと鬘や衣装を大きくすることもありますから、役者さんと相談しながら決めていきます。
立役の鬘は種類が少ないように思われがちですが、こちらも実はいろいろな形の鬘があります。
武士と町人では鬢のかたちが異なってきますし、色気がある役かない役か、
強いのか弱いのか、また粋な性格か野暮な性格かなどによっても違いが生じてきます。
役の年齢によっても違いますし、役者さんの解釈によって注文が付くときもあります。
ちなみに材料は本物の人間の毛や人工毛、化繊を組み合わせて作るそうです。
獅子の鬘など特殊なものは、動物のヤクの毛を使って独特の毛並みを表現しています。